仙台高等裁判所 昭和41年(ネ)440号 判決
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〔判決理由〕右事実によると、稲本兼蔵は、仮換地として原判決末尾添付物件目録一ないし三記載の各土地の交付を受けたのであるから、同人が同人地を所有の意思をもつて占有を始めたものと解することはできない。しかし、その後昭和二年一〇月二五日に、右各土地が耕地整理地区変更の認可を受けて耕地整理地区外となつたことは前示のとおり当事者間に争いがなく、本件弁論の全趣旨に徴すれば、同日前記組合より兼蔵に対しその旨の通知がなされたであろうことが推認されるのみならず、兼蔵が同日以降も右各土地を返還せずして耕作を続けたことは前示認定したとおりであるから、特段の事情の認められない本件においては、少くとも右同日以降は、兼蔵は所有の意思をもつて占有したものと解すべきである。そうして、右占有が平穏、公然でないことにつき反証の認められない本件において、同人の右占有は平穏、公然であると推定される。もつとも、兼蔵は右占有の始めにおいて、所有者であると信ずるにつき悪意ないし過失があると解せられるから、同日から二〇年を経過した昭和二二年一〇月二五日の経過とともに右目録一および二記載の各土地の所有権を時効により取得したものといわなければならない。(鳥羽久五郎 牧野進 井田友吉)